Others
9
「あら、外国では、一夫多妻制のところもあるのよ?第一夫人は、沙織、私は第二夫人でいいわ。」
「は?」
「…そっかぁ。そうしたら、桜ちゃんとも、玲花ちゃんとも、ずっと一緒にいられるよね?」
「そうね。両手に花…素敵だわ。」
ウットリと呟く玲花さん。
…たぶん、花の片方は、自分の事じゃあないんだろうな。
じゃなくて!
「ちょっと待った!…オレは1人以上、奥さんを持つ気はありません。」
「つか、桜はオレの奥さんになるんだっつーの!」
「いいえ。僕の妻になるんです。」
「馬ぁ鹿。オレの新妻に汚ねぇ手で触んじゃねーよ。」
「黙れ三馬鹿。」
ピシャリと手をたたき落とすが、三人はめげない。
「でもぉ、桜ちゃんが、1人だけに決めちゃったら、血の雨が降ると思うの。」
「う"。」
罪のない笑顔で、笑う沙織ちゃんに、オレは二の句がつげない。
「なら諦めて、私達のものになりなさいよ。…可愛いコなら、加えてあげてもいーわよ?」
第三夫人以降にね、と笑う玲花さんに、オレはガックリと肩を落とす。
奥さんがどーの、とか。
第一夫人がどーの、とか。
そんな話の前に、オレは、
―――普通の恋愛が、したい。
END
[*前へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!