[携帯モード] [URL送信]

Others
40


「…それは、許される、べき事じゃ、ないし…簡単に、償いが、出来る事じゃ、ないと…思います。……………オレは、もう…書記には、戻れない。」

「…そうだな。」


漸く会長は、一言だけ、そう返した。


哀れみも怒りも感じさせない、静かな声で、端的に事実だけ述べる。


…遅すぎたのだ。


彼は、会長の信頼も、一般生徒の信頼も、失ってしまっている。


信頼は、失うのは容易いが、回復するには、とても時間と努力が必要になるから。


それの回復を待っていては、生徒会の…そして学園の業務が立ち行かなくなる。


残酷だろうと、無慈悲だろうと、会長は、彼を切り捨てなければならない。



トップとして。



「……それに、異論は、ありません。…オレは、それだけの事を、した。………………………………………………ただ、……貴方に一言だけ、伝えたかった。」

「………何だ。」


だから会長は、罵倒も恨み言も、ただ受けとめる。
それも、役目だと言わんばかりに。


言い訳も、弁解も、無い。


オレは、この人のこういう所は、とても得難い才だと思う。
単純に、好きだとも、思う。


…でもね、会長。


人は、成長する生き物なんです。






「………ごめんなさい。」

「………………。」



神妙な顔を、情けなく崩し、ペコリと頭を下げた御厨先輩を見て、会長は切れ長な目を、丸くした。


.

[*前へ][次へ#]

40/100ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!