Others 30 ※元書記 御厨剣視点。 「…っ、」 涙が、出そうになった。 まるで子供に言って聞かせるような、暖かい言葉。 彼は、当り前の事を、ちゃんと言葉で教えてくれた。 オレなんて、嫌いなのに。 放っておけば、いいのに。 途方に暮れかけたオレに、ちゃんと答えを、くれた。 「………………。」 オレは、無言のまま、彼の前の書類を取る。 ペンを握ったオレに、彼以外の全員が目を見開いた。 「ちょ、剣っ!!何して…、」 慌てたようなケイに、僅かに笑みかけた。 心配してくれるのは、本当に、嬉しい。 でも、これはオレのケジメ。 オレに、必要な事。 「……………。」 サラサラと名前を記入して、オレはスッと彼に差し出した。 無言で受け止ってくれた彼に、オレはホッと息をついた。 これで、この言葉が言える。 オレは、彼の目を見て、次いで両脇にいる二人を順番に見た。 真剣な顔の彼らに向かって、深く頭を下げる。 「………ごめん、なさい。」 . [*前へ][次へ#] [戻る] |