Others 25 ※元書記 御厨剣視点。 オレは、言葉、というものを、信じていなかった。 ソレは、無力なガキだった頃のオレを、傷付けるだけのものだった。 そして、年月が流れた今も、くだらない雑音や、無責任なガラクタの域を出ない。 敵意。 好奇。 打算。 どの『言葉』も、くだらない。 そんな汚いもの、オレはいらない。 そうやって耳を塞ぎ、目を反らし続けていたオレの元に、ある日、初めて光が現われた。 『オレは岩井ケイ!よろしくなっ!』 野暮ったい格好と裏腹に、とても明るく溌剌とした少年は、オレが言葉にしなくとも、オレの考えを読み取ってくれた。 『いいじゃん、言葉にしなくても、オレはお前の言いたい事分かるし!それで充分だろ?』 頭の中ではちゃんと考えられるのに、オレの口を通ると、それらは酷く稚拙でたどたどしいものにかわる。 それも、オレが『言葉』を嫌う要因の一つだった。 でも、ケイはそれでいい、と言ってくれた。 自分が分かれば、それで充分だと。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |