Others
17
「「ストップ、ジロ(次郎)。」」
重なる二つの声と共に、そっと両脇から抱き寄せられた。
片方はオレの頭を、片方は肩を。
宥めるようにポンポン、と軽く叩かれる。
「ありがとな。オレらのかわりに怒ってくれて。」
「だが、お前一人が憎まれ役になる事はない。」
優しい優しい声で、二人は嬉しそうに笑う。
「…お前のおかげで、覚悟が決まったよ。」
やがて叶は、静かな声でそう呟き、顔をあげた。
瞳が、黙り込んでしまった書記をとらえ、スゥ、と細められる。
叶は、オレから離れ、書記に一歩、歩み寄った。
綺麗な横顔は、いつも以上に凛としていて、瞳には決然とした意志が灯る。
その凛々しい立ち姿には最早、一片の迷いも見つけられなかった。
「……御厨 剣先輩。」
「………………。」
「今迄、お世話になりました。」
「っ…!?」
非難される事を予想していたのだろう書記は、綺麗な所作で頭を下げる叶に、目を瞠る。
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