Others
14
「…ウソ、だ。」
小さく呟いた言葉に、今迄事の成り行きを見守っていた叶が一歩前に出た。
「……俺は叶 千里。はじめましてでは無いが、覚えていますか?」
書記は眉間にシワを刻みながらも、ゆっくり口を開く。
「………オレの、親衛隊の…」
「そう。隊長です。」
明らかな拒絶を感じる表情にも、叶は怯まなかった。
「正直俺は名ばかりの隊長なんで、殆ど何もしてないに等しいですが…他の子らは違いますよ。」
「…………知って、る。………オレの周り、を…排除、した…」
「…………。」
今度は、叶の眉間にシワがよる。
「…排除?………アンタの周りでキャーキャー騒ぐ奴等を押さえる事を、排除と呼ぶのか?」
「………騒がしいの、お前ら…」
「違うぞ。」
吐き捨てるような書記の言葉に、叶では無く、足利先輩が割って入った。
「………違う…?」
心底不思議そうな書記に、足利先輩すらもため息をついた。
「お前んとこの親衛隊は、良くできた奴等だぜ?お前が騒がしいの嫌いだって知ってんのに、ギャーギャー騒ぐような常識知らずは、一人もいねぇ。」
そうだろ?と視線を向けた足利先輩に、叶は我が事のように嬉しそうに笑った。
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