[携帯モード] [URL送信]

Others
11


「…………。」


書記だけでなく、足利先輩も驚いたように目を瞠っている中、叶だけは、『あーあ』とでも言いそうな諦めた顔で嘆息していた。


「…此処は、『仕事をする役員』の為のフロアなの。アンタに居る資格が無いのは分かり切った事でしょー?」

「………………、」


上手く言葉に出来なくて、歯噛みするような顔の書記。


思い知るといい。


世の中には、アンタの思考が読めない奴が大半だということを。


言わなくとも、
考え無くとも、


許されたのは、この狭い箱庭の中だけだという事を。


「…嫌だっ…!」

「……………。」


本当に、駄々をこねる子供と同じ。
嫌だしか繰り返さない書記に、オレはため息しか出ない。


「……嫌だから、やらなくていい。そんな風に全ての事柄が済むなら、誰も苦しんだりしないんだよ。」


オレは、色素の薄い書記の瞳を見据えて、静かな声でそう言った。


.

[*前へ][次へ#]

11/100ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!