Others
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はぁ、とため息をついたその時、スルリと、伸びてきた大きな手が、オレの頬を撫でる。
「はよ。…元気ねぇな、桜。どした?」
天下御免の無責任男こと、幼なじみその3、柊雪は、珍しくも、難しい顔で、そんな気遣いを見せた。
…明日はきっと、雪か雷雨だ。
「…ぉはよ。ちょっと考え事。」
「…馬鹿だな。心配しねぇでも、オレはお前だけのモンだぜ?」
…前言撤回。
やっぱいつもと変わらねぇ。
「誰がそんな事で悩んでいると言った。」
「じゃ、なんだよ?」
じーっと、三方からの視線。
オレは、ふぅ、とため息をついた。
「…あのさ、」
―――そう、オレが話を切り出そうとした、その時。
「おはよぉ、桜ちゃんっ!」
鈴が鳴るような可愛いらしい声と同時に、ガバッ、とオレの腕に少女が抱きついてきた。
「ぐぉっ!?」
―――華奢な腕で、葵を押し退けながら。
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