Others
3
ドンッ
「グエッ」
突然、葵の体が突き飛ばされた。
カエルが潰れたみたいな声で、よろめく葵。
「…僕の桜に、何をしているんですか。汚らわしい。」
虫を見るような目で葵を睨み付けるのは、幼なじみその2、萩野楓。
フルフルと震える手が、楓の怒りを物語っている。
しかし、空気が読めてない葵は、突き飛ばされた所を擦りながらも、またオレに巻き付いてきた。
「ってぇなー…。萩野が虐めるよー、桜。」
「痛みも感じない世界へ、旅立たせてあげましょうか。」
ニッコリと楓は、キレた顔で笑った。
「…楓。取り敢えず、カッターは置け。」
チキチキチキ…、と恐ろしい音をたてて、ゆっくりとカッターの歯を出す楓に、オレは先手で釘を刺す。
…怖いから。
普通に怖いから。
そのイイ笑顔も、メッチャ怖いからね?
楓は、渋々、カッターをしまった。
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