Others
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「酷いと思わない!?桜ちゃん!!」
「うん。最低だね。」
オレ、葛葉 桜(くずのは さくら)は、同意するように頷いた。
オレの同意に力を得、少女はヒートアップする。
「あんな勝手な奴だとは思わなかった!」
「うーん…好きになっちゃうと、良い所以外、見えにくくなっちゃうからねー。」
憤慨する少女には悪いが、アイツは何時でも何処でも勝手な奴だ。
それを見破れなかったのは、昔の人の言う所『恋は盲目』というフィルターがかかっていたせい。
アイツが急に変わったワケじゃない。
「時間にルーズだし!デリカシーないし!たまに趣味変だし!」
おお…。
フィルターがとれた途端、女子は的確だな。でもって辛辣。
普段ふんわり可愛い少女は、目を吊り上らせて、目元を真っ赤にして怒っている。
目力半端なくて、ちょっと怖い。
…でも、その理由が分かっていれば、可愛い仕草の一つに他ならない。
と、オレは思うわけだ。
ぽんぽん。
「っ…。」
少女の頭を、宥めるように、柔らかく撫でる。
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