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「………満足?」
肩口までの、くるくる巻かれた黒髪のかつら。
肩のところがフワリと膨らみ、袖口が広くなっている、シスター服。ペンダントタイプのロザリオ。
頭には、レースのベール。
手には聖書もどきまで持たされて。
何とも情けない顔のオレの前には、クラスメイト達。
「…地味だ。」
「…だが、清楚だ。」
「…そして、清らか故の色気も、微かにある気もする。」
「憧れの近所のお姉さんを、確かに思い出させる…。」
「オレ、幼稚園のまり子先生!」
「オレ従姉妹の由紀ねぇ!!」
「総合して…」
「「「「「天才じゃね!?神林!!」」」」」
この阿呆クラスがぁあああ!!!
「い、いらっしゃいませ〜。」
…そうしてオレは、慣れない営業スマイルを浮かべ、接客をやらされるハメになった。
つか結局、風俗まがいな店なんだから、AVっぽかろうと、別によくね!?
だって何番テーブルご指名でーす、とかやってるんだよ!?
各言うオレも、ただいまヘルプでテーブルについてます…あははー。
…まんまクラブじゃねぇかー!!
「シスター、お名前は?」
トリップしていたオレに、隣のお兄さんが聞いてきた。
爽やか系のイケメンだが、突き抜けた美形に囲まれたオレの目には、普通の人の良さそうなお兄さんにしか見えない。
慣れって怖い。
…じゃなくて、名前って。
確か源氏名が………
………忘れた。
「……シス子です。」
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