Sub 10 横顔を見つめるオレに、黒さんは、瞳を細め、微笑む。 「…なぁ、凛。」 「……はい?」 「…来年は、さ。………付き合って欲しい所があるんだ。」 黒さんは、遠くを見つめて、そう言った。 来年の、いつ?とは問わない。 どこに?とも聞かない。 「……はい。」 オレはただ、笑って頷いた。 いつも誕生日の度に、たった一人でいた貴方が。 来年も、オレを傍においてくれるなら、 それ以上に望む事なんて、ない。 黒さんは、嬉しそうに笑って、またブラブラとオレの手を揺らす。 オレと貴方は、 普通、の枠には納まれなくて、 いびつで、不恰好で、 いつまでも一緒にいられる保証なんてないけど。 そう簡単には、 貴方を一人になんかさせないから。 オレ達は、 兄弟でも、 親子でも、 恋人でも、 ないけれど。 それでも、貴方は、 ―――オレの大切な、 家族です。 . [*前へ] [戻る] |