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5


「黒さんっ!」


届かないながらも、必死に電話口に向かって叫ぶ。


『凛!』


呼び返してくれる、心配げな声。


「健気だな。…いっそ踏み躙りたくなる位に。」
『貴様…』
プツ


侮蔑を込め、呟いた御門は、言いたい事は言ったとばかりに、通話を切ってしまった。


「………返せ。」


睨み付けるオレを余所に、御門は携帯をパチンと閉め、オレから遠ざけるように高く上げる。



「何もせずにご褒美だけ貰えると思ってるのか?」


その余裕の笑みが、心底憎たらしい。


…つうか、ご褒美じゃねえ。
オレのだっつーの!!



ムカつきつつも、冷静になれ、と心の中で呪文のように繰り返した。


「…何しろって?」


仏頂面で嫌々呟くと、御門は、よく出来ました、とばかりに笑みを深くした。




「…そうだな……」




悠然とした仕草で、御門はオレを指差す。


正確には、オレの膝。


………?



「眠ぃ。膝枕でもしてもらうか。」





「…………はぁ?」



オレが呆然としている間にも、御門は勝手にオレの膝に頭を乗せてきた。


マジですか!?


何考えていてんの!?コイツ!!


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