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オレが文句を言おうと口を開く前に、御門はオレの手に携帯を戻した。



「………。」


一方的だし、元々コレ、オレのなんだけど。
約束守った御門に、退け、と言う事が、一瞬躊躇われた。


つか、男の膝枕って、何が楽しいの?

女の子にやってもらってこそ、の膝枕でしょ。



オレが悶々と悩んでいる間に、御門はとっとと寝に入ったようで、やがて静かな寝息が聞こえてきた。


「………本当に寝た。」


ビックリした。


だって、カイチョだよ!?


あの暴君俺様が、オレの膝枕で寝てるって…何なの!?この状況!!




「…そのまま、寝かせて差し上げては、いただけませんか?」

「!」


テンパるオレに、前から低い声が掛けられる。

声の主は、黙って事の成り行きを見守りつつ、車を運転していた男の人。


年の頃は、たぶん三十を少し越えた位。
強面だが、渋くて、格好良い。…絶対、堅気じゃないと言い切れる眼光と、面立ちだが。


「…あの、」


「申し遅れました。私、風間 樹と申します。」

「あ、ども。ご丁寧に。…オレは斎藤凛と申します。」


丁寧に挨拶してくれる風間さんに、つられる様にオレも頭を下げた。


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