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鳴りだした携帯を取り出し、ディスプレイを見ると、今まさに思っていた人物の名前。
苦笑して、通話ボタンを押した。
「…おはよー、黒さん。」
『…はよ。』
寝起きの擦れた声が、呟く。
眠そう。
まだ、寝ててもいいのに。
『どっか出掛けてんのか?』
「買い物です。…ブランチに、ベーグルでも作ろうかなぁって。」
クリームチーズと、バジル、後はトマトが無いと嫌だったんだよね。
『起こせよ。足と荷台くらいの役にはたつぜ?』
苦笑まじりの声。
失敗したなぁ。
そう言うと思ったから、早めに帰ろうと思ったのに。
苺を買おうか迷っている時間が余計だった。
「大丈夫。もうすぐ着きます。」
話をしている間に、もうすぐ信号が変わりそうだ。
歩行者用の信号が点滅している。
『交差点のトコか?』
電話越しに、車の排気音とかが聞こえたのか、黒さんが確認するように問う。
「はい。信号待ち中……、うぉっ!?」
『凛!?』
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