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「…ごめんな?」


センセは、そう言って少年を自分から引き離す。


「…教師と生徒だからですか?」


ぎゅって掌を握りこんで、少年は、呟く。


「それとも、男同士だから?」


少年の言葉は、オレの心も抉った。


男同士なだけでも障害なのに、オレとセンセは、教師と生徒。


改めて、その事を実感させられた。


「…そうじゃない。オレは、例え同性でも、…生徒でも、好きになったら、誤魔化したりしない。」


「…先生。」


「ごめんな。」


受け入れられないんだ、そう言い聞かせるセンセに、少年は、ふるふるとかぶりを振る。


「…聞いてくれて、ありがとうございました。」


少年は気丈にも、泣く事なく、ペコリと頭を下げて、準備室を後にする。


オレは慌てて、影に隠れて少年が去っていくのを見ていた。


…センセは、断ってた。
でも、素直に喜べなかった。

受け入れられないんだ、って言葉が、何度も頭の中で繰り返される。


オレに言われた言葉じゃないのに。

改めて、センセが抱えているリスクだとか、自分の中のぐちゃぐちゃで汚いココロとかを認識させられて、オレはパンク寸前だったのかもしれない。


準備室に入ったオレを、普通に出迎えてくれたセンセに、あたってしまった。

何かあった?
なんて、わざとらしく聞いて、何もないって返されてしまった事に、馬鹿みたいにショックを受けて。


―――そして、冒頭に戻る。


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