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「………武藤?」
「…んだよ。」
武藤はオレを抱き締めたまま、面倒臭そうに返事をする。
何つーか、すっかり寝る体制だ。
辞典はどうした。辞典は。
「…何なの。この体制。」
「寝ろ。」
「は?」
「このまま寝ろ。」
えぇー!?
何言ってるの、この人ー!
「いやいや。1人で寝れますよ。そこまでガキじゃないよ!?」
「…今日は明け方まで、天気荒れるらしぃぜ?」
「マジでか。」
…ここは一つ、滅多にない武藤の優しさを受け取るべきなのか?
……でも男子高校生が、同級生に添い寝を頼むのって、どうなの?
…画的にも、ないな。
何か男として大事な何かを失いそうな気がするし。(深読み禁止)
「………。」
「…ぅぎゃ!?」
オレが悶々と考え込んでいると、武藤は無言で、オレの背中に手を突っ込んで、ツーと背筋を指で辿った。
「武藤ー!?」
武藤は、慌てふためくオレを押さえつけ、ニヤリと、薄い唇を歪めた。
「…いつまでもゴチャゴチャ考えてんなら、疲れ果てて眠れるくれぇ、啼かせてやってもいいんだぜ…?」
武藤ーーーっ!!?
オレは声無き叫びをあげた。
「うぅ…。直ぐ様眠らせていただきますぅ…。」
「よし。」
武藤は、さっさと寝ろ、と言わんばかりに抱き枕よろしく、オレを抱き締めた。
……。
ぎゅうって抱き締められた所から、ジンワリと熱が広がっていく。
雷の音も、遠くなった。
……あぁ。何か。
安心する、かも…。
そこでオレの意識は途切れた。
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