Main 11* ※清水視点です。 オレの言葉に、陽は顔を上げる。 憎しみ、苛立ち、様々な負の感情を込めた視線がオレに向けられた。 「…陰に手ぇ出したら、殺す。」 殺意を受けながら、オレは鼻で哂った。 「弱い犬ほどよく吠えるな。…テメェに、んな事言う権利ねぇだろ。」 陽は、ソファーの背に掴まり、ゆっくりと立ち上がった。 「…確かにオレは、アンタよか弱いよ。」 ギラギラと光る翠緑の瞳を眇め、陽は鬱陶しそうに、前髪をかきあげた。 「…だから弱いなりに、手段選ばずにいかせてもらうから。」 「…何だと?」 訝しみ、聞き返すオレに、陽は答えず、近くにあった果物ナイフを掴んだ。 「…テメ、」 ソレを振りかざすと思い、身構えたオレの予想に反し、陽はナイフを投げるように振りかぶった。 「…!?」 ビュッ オレに向かって来ると思ったソレは、軌道をオレの後ろに向けられていた。 「…ひっ!?」 マズい!! 背後に、少年を庇っていた事を失念していた。 咄嗟にナイフに手を伸ばす。 ザッ 「ぐっ!!」 刃の方を掴んだせいで、掌がザックリと切り裂かれた。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |