Main 3 「……。」 西崎は、じっとオレを見つめた後、小さく嘆息した。 「そうだな。…平凡のイメチェンした理由なんて、平凡なものだろうからな。オレが聞く価値のあるものじゃないな。」 「…自分から聞いといて、凄い言い種だね。ハルちゃん。」 西崎がいつもの調子で、毒づいたのを見て、オレは内心、安堵した。 最近の西崎はたまに、見たことの無い人みたいな顔をする。 オレはそれが、あんまり見たくなくて、何とかやめさせようとする。 …変身した理由だって、聞きたいようには見えなかった。 聞きたいわけではなく、聞かなければいけない、みたいな。 判決を待つ囚人のように、静かで無機質な…何の希望も持っていないようなその顔を、西崎にさせたくなくて、オレは色々考えるんだ。 「ところで、ハルちゃん。武藤は?」 「…後ろ。」 「へ?」 パコッ 「痛っ!?」 振り返ると、武藤がいつもの仏頂面で立っていた。 手には丸めたノートを持って。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |