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「北区に拠点を置き、この辺り一帯を仕切る《ケルベロス》っていう族の総長が、御門暁良。……ちなみに他の生徒会のメンバーも構成員です」
「……うちの学校、何げに終わってるよな」
「同感です」
呆れを多分に含んだ声音で、しみじみと呟かれたセンセの言葉に、オレも即座に同意する。
違うチームとはいえ、族に加入しているオレが言うなよって話ではあるが。
生徒会役員、全員が族のメンバーって、結構な異常事態だと思うのってオレだけ??
この学校では公然の秘密みたいな扱いだから、オレがおかしいのかと思ったけど……センセの反応見て安心した。
「で、その《ケルベロス》と対等に渡り合えるチームが、南区に一つあります。チーム名は《陰/陽》」
センセは頷くだけで、口は挟まなかった。
オレはちゃんと、客観的に話が出来ているか不安に思いつつも話を続ける。
「御門暁良は、半年位前から、その《陰/陽》のメンバーの一人を探していました。名は、陰」
「……当然本名じゃない、よな」
考える様に、センセの眉間にシワが寄る。
「はい。《陰/陽》では、本名を名乗らない事が通常でしたし……陰というのも役職に近い。総長《黒龍》の直属の部下で、他の幹部連の指示では動かせない特殊な席です」
「…………」
センセの顔が、だんだんと厳しくなる。
それにオレは苦笑を浮かべたくなった。
……相当鈍けりゃ話は別だけど、普通なら気付くよな。
こんな平々凡々な男が、族の構成に詳しいって、おかしいだろって。
『陰』は、オレ斎藤凛とは似つかわしく無い、特別な席だ。
身の程知らずという言葉なら、甘んじて受けようと思う。オレが心底欲した席だからこそ、誰に譲り渡す気も無いけれど。
「その特別な席に座ったのは、力も弱く、何の特殊能力も備えていない男です。……ただ一つ、黒龍への絶対的な忠誠を除いては」
オレが皆に認められたのは、逃げ足の早さとナビ……でも、それより何より、黒さんへの絶対的な忠誠が無ければ、あんなに早く受け入れられる事は無かったと思う。
「黒龍の影……《陰》
それがオレ、斎藤凛の、もう一つの名前です」
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