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「本来教師は、生徒の味方であるべきだとオレは考えている。……だが、それが生徒同士だと話は別だ。間を取り持つ程度なら構わないが、どちらかに肩入れするのはNG。ニュートラルが一番望ましい」


真面目な話をするセンセは、『先生』の顔をしていた。
手を組んだセンセの真っすぐな視線が、オレへと寄越された。


「凛ちゃんがオレに泣き付いてこない事が、歯痒かった。だが、そのおかげでオレは『教師』でいられたんだな。……有り難う」

「っ!」


まさか礼を言われるなんて、予想もしていなかった。
動揺するオレを置いてきぼりに、センセは話を続ける。


「泣き付かれてたら、オレとっくに教師止めてた。生徒殴って、お前泣かして。……本当、大人気ねぇよな」

「…………」


上手く言葉が返せないオレに、センセは微笑む。
『大人気ない』と自分を表した人が、大人な笑みで。


「でもな、もう大丈夫だ。今日は、冷静に聞く気で来た。……だから教えて欲しい。お前に何があったのか」


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