Main 02 疑問が顔に出ていたらしい。武藤は、やる気なげに、下駄箱近くに置いてあるゴミ箱を指差した。 「そこのゴミ箱に、入ってたやつだ。靴を新調した奴がよく突っ込んでいくからな。」 成る程…つまり、親衛隊の方々は、履き潰されたボロ靴を掴んでわざわざめちゃくちゃに切り裂いた、と。 ……なんかゴメン。 確かに良く見ると、切り刻む価値も無い位汚いよ、コレ。 なんかオレのにしちゃあ、異様にデカいし。 多分運動部の奴のだ。 運動部員(仮)にボロボロになるまで履き潰された挙げ句、ギタギタに切り刻まれた哀れな靴を、オレはゴミ箱に入れ、その前で合掌した。 ありがとうボロ靴。君のお陰でオレの靴は無事でした。 君の犠牲を無駄にはしない為にも、帰りは靴持って帰る様にしますので! 「…おら、行くぞ。」 「痛っ。」 拝んでいるオレの後ろ頭をカバンでド突いた武藤は、呆れた様に一声掛けて歩きだす。 オレも慌ててその後を追った。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |