Main 独裁者の謳 価値あるものを、探していた。 それは、世界が認める価値でなくていい。 オレが、価値を感じられれば、それだけでいい。 なのにも関わらず、それは酷く難しい事だった。 オレが興味を少しでも持ったものは、手を伸ばさずとも落ちてきた。 オレにイカレた奴らの手によって捧げられるか、 もしくはそのもの自ら、我が身を捧げてくる。 手の平に落ちて来たソレが、価値の無いガラクタに成り下がるのを冷めた目で見つめながらも、 日に日にオレの中の苛立ちは募る。 労せず手に入るものに、一体どれだけの価値がある。 世界に一つと謡われた宝玉を差し出されたところで、価値を知らぬ人間には、硝子玉と同じ事だと何故分からない? 欲した訳でも無い、高価なガラクタに埋もれながらオレは、 苛立ちが増すのと反比例する様に、この世界への興味が徐々に欠けて行く。 そんな中、たった一つ、見つけた 手に入れたいもの。 …だが、オレは気付く。 ソレの、手に入れ方を、知らない事に。 脆そうに見えて、オレの手では傷一つつけられない、龍の玉。 追い詰めても、請うても、形を変えない、ある意味歪(イビツ)な存在。 アレを手に入れるには、 ――どうしたらいい? . [次へ#] [戻る] |