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「……………、」
…散々無駄な抵抗をしたオレは、力尽きるように、ドアを背に、その場に座り込む。
「………………、」
ぼんやりと向けた視線の先、時計が、もうすぐ12時を示す。
刺すような胸の痛みを覚え、オレはうなだれ、己の膝に顔を埋めた。
「………今年のこの日も、一緒にいるって約束したのに。」
呟いた己の言葉に胸を抉られる。
自分の無力さが、どうしようもなく歯痒い。
…何があろうと、この日だけは、
絶対一緒にいようと、思っていたのに。
明日は、
明日だけは、
大切な貴方の、生まれた日だけは、絶対に。
「……黒さん。」
くしゃり、と顔を歪め、ポツリと呟いた独り言。
返る声などある筈無いと思っていたのに、
「…呼んだか?」
「っ!!?」
扉越し、くぐもった声が、返ってきた。
少し聞き取り辛いけれど、間違いようもない、声が。
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