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あの日のこと。
――思い出す。
今から数ヶ月前、最後に貴方に会った日。
陽とのいざこざで怪我を負って、父親に連絡され、治ってからも、ほぼ軟禁のような生活を強いられていた。
反抗したい気持ちを抑えチャンスを窺い、大切な日の前夜、抜け出そうとしたオレは、アッサリ捕まり、鍵付の部屋に閉じ込められてしまった。
ガチャガチャ、と
乱暴にノブを回す音だけが、室内に響く。
「…っ、」
開く様子の全く無いドアに、オレは舌打ちし、乱暴にドアをドンッと叩いた。
無駄に豪華な室内を見回し、デジタル式の時計が示す時間に、眉をひそめる。
「…………、」
もうすぐ、
もうすぐ、その日が来てしまう。
こんな場所に閉じ込められている間にも、大切な日が、来てしまうのだ。
焦りながらオレは、カーテンを開けるが、窓には忌々しい格子が。
「……出しやがれよクソ親父!!!」
苛立ちのまま、ガラスに拳を打ち付けるが、強化されたガラスはミシ、と軽い音をたてただけだった。
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