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『今、風呂入っててな。』

「え。」


ワシワシと髪を拭く音がし、オレは固まった。


…ヤバ。
めっちゃ邪魔しちゃってんじゃん。

すみません、もう一回、時間おいてかけなおしますね、
と慌ててきり出そうとした言葉は、笑い混じりの黒さんの声に阻まれた。


「す、」
『って言っても、別に全裸じゃねぇけど。』

「…凄い反応に困ります。」


…謝らせたくないんだろうけど、ソレにどう返せと。

困ったように呟くと、黒さんは楽しそうに笑った。


ハァ、とため息をつき、オレは付け足すように言う。


「…ちゃんと上も着て下さいね。」

『お。よく分かったな。…監視カメラでもついてんのか?』

「や。普通に分かりますとも。」


黒さんは冬以外、基本風呂上がりは上半身裸だし。


「………、」


離れていた時間を忘れさせるような、気の抜けた会話に、オレは自然、肩の力を抜いた。


…本当、かなわない。


黒さんは、オレが小さく笑うと、やや間を開けてから、


りぃ、と呼び掛けた。


「はい?」

『…すぐに出れなくて、ごめんな?』


.

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