Main
黒さんに電話
『…ギリでセーフ、か?』
長く息を吐き出した後、黒さんは笑い混じりの声でそう言った。
確かにいつもだったら、切ってたかも。
出られない状況の時だってあるだろうし、あんまりしつこくして、迷惑かけるの嫌だし。
苦笑しながら、セーフです、と返すと、黒さんは電話越しに苦笑を深める。
『頑固なくせに、そんな時だけ諦め早いからなぁ、お前。』
「…そんなこと、」
『無くはねぇ、よな。』
「………………はい。」
なんでもお見通しな様子に何か悔しくて、少しだけ反論を試みるが、それすらも先回りされ、オレは憮然としつつも肯定した。
頑固な事も、
そのくせ臆病で、引いてしまう事も、
悔しいけど、自覚済みな事実です。
電話越しでも、オレが拗ねた事が分かったのか、黒さんは喉を鳴らして笑う。
…相変わらずオレとこの人の開きは縮まってないらしい。
何でこんなに違うんだろ。二歳しか違わないのに…あ、今は三歳差か。
その三年の差は、驚く程大きい。
.
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!