[携帯モード] [URL送信]

Main
当り前のキセキ


プルルル…プルルル…


「……………、」


プルルル…プルルル…、


手に汗握る程感じていた緊張は、だんだんと失望に変わる。


オレの空回りを笑うみたいに、呼び出し音だけが虚しく響く。


「……………、」


そういえば、そもそも携帯を常に持ち歩くような人では無かった。


オレが留守番してる時とか、別行動している時は、ちゃんと持っててくれるから忘れてたけど、家に居る時は充電すらせず放置してる事もあるし。

実は大雑把で、適当な部分がある人だったりする。


オレを拾ってからは、オレにあわせて規則正しい生活をしてくれてたけど、今はどうなんだろう。


ちゃんと、ご飯食べてますか?
レトルトばっかりじゃ、駄目ですよ。


朝、起きれてますか?
学校サボっちゃ、駄目ですよ。


お酒も煙草も駄目ですからね。




『お前、母親か嫁さんみてぇだよなぁ。』


照れの混じった苦笑で、そんな事言われたのを思い出す。

口煩く言って嫌われたらどうしよう、というオレの杞憂を払拭するみたいに、貴方は小さく『心配してくれてサンキュ。』と呟いて、オレの髪を撫でる。

からかわれたけど、嫌な顔は絶対しなかった。


.

[*前へ][次へ#]

21/116ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!