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「……あれ?」
ふと顔をあげたら、いつの間にか二人がいなかった。
慌てて玄関へと向かうと、丁度部屋から出るところで、西崎は半分ドアを開けたまま、いつもの淡々とした口調で、帰る、と告げた。
「…あ、…うん。」
何時も通りすぎる口調に、つい押され、バイバイと小さく手を振ると、西崎は苦笑を浮かべた。
なんか今日は、ずっとそんな顔をさせてる気がする。
「…久しぶりなんだろ?」
「…うん。」
「邪魔しないから、ゆっくり話せ。」
「!」
その言葉の意味するところは、つまり
この優しすぎる友人らは、気をつかってくれたわけだ。
「……ありがと。」
呟きに、手を軽くあげる事で答え、西崎は今度こそドアを閉めた。
「………………。」
部屋に戻り、ソファーに座って、オレは再び携帯に視線を落とす。
「………………、」
カチカチ…
表示させた番号。
登録はしてない。
オレが記憶喪失にでもならない限り、絶対忘れないから。
「………………、」
深く息を吸った音が、やけに大きく部屋に響いた。
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