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「うん。」


保護者、なんて言葉では言い表わせない。


失われた筈のオレの世界を、取り戻してくれた人。

彼は最早、オレにとって『世界』の同意語。


迷い無く頷いたオレを見て、西崎は光源を見つめた時のように、目を細める。

僅かに俯き、そうか、と短く返す声は、少しだけいつもより力無かった。


だがそれは一瞬で、次に顔をあげた西崎は、何時も通りの冷静な彼だった。


「……お前の言い分は分かった。」

「…じゃあ、」

「分かったが、…それなら尚更、報告をしておけ。」

「!」


オレは西崎の言葉に目を瞠る。

分かった、のに、何で?

そう瞳で問うオレに、西崎は、チラリ、と視線を武藤に向けた。


それに気付いた武藤は、苦い顔で黙り込む。


「……………。」


しかし数秒沈黙が続いた後、ガシガシと頭をかき、長く息を吐き出した。


「…オレもそれに賛成だ。」

「……………、」


納得出来なくて、俯きそうになるオレの頭を、武藤はワシワシと撫でた。


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