Main 精神安定剤 二人の手を振り払い、オレはサンドイッチ状態から脱出した。 ぷはぁっ、と息をつき、 キッと二人を睨み付ける。 「………………、」 しかし、言う筈だった文句は、口から出る前に消えた。 「………………、」 何時も通りの二人に、無駄に張っていた気がゆるみ、肩の力も自然と抜ける。 「……なんか、気が抜けた。」 はぁ、とため息を長くつくと、西崎はシニカルな笑みを浮かべた。 「…そりゃ良かったな。」 「…………。」 …あーもー。 本当に、適わないなぁ。 こーゆートコ。 テンパってた自分が、ちょっと恥ずかしい。 赤くなった目元を、照れ隠しに乱暴に拭い、オレは顔をあげた。 自然、何時も通り、冷静で深みのあるアンバー色の瞳とかち合う。 「…『見つかったら、終わり』、じゃないだろう。」 「…うん。」 そうだ。 見つかったら終わり、なんじゃない。 ――『諦めたら、終わり』なんだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |