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「…何でぶっ飛ばさないの。」


「……あー。……うん。ぶっ飛ばせばよかったんだろうなぁ。今ならちょっと分かる。……そのまま見なかった事にして、会話続けちゃったから、オレらは泥沼にハマったんだろうね。」


苦い…苦い記憶。


初めての恋人を思い出す時、オレの胸に甘さなんてない。
苦い後悔ばかりが、ただ胸を占める。


「その後も知らないフリして隣にいたけど、太陽の浮気はどんどん酷くなっていった。同世代の女の子だけじゃなくて、年上のお姉さんから、果ては年下の男まで。…隠す気なんて無いのか、場所も憚らず、オレの前でも平気でキスしたり。」

ぎゅうって掌を握り込む。

「……オレはもう、アイツが好きなのか憎いのかさえ分からなくなった。…嫉妬して、それでも別れる事も出来なくて、苦しくて哀しくて…………でも、オレにはそんな権利なかったんだよ。」


「………何で?」





「……オレには、アイツより大切な人がいたから。」

未来君の目が、見開かれる。


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