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絶対零度の怒り
扉を勢いよく開け、飛び込んで来たのは、綺麗なハニーブラウンの髪を振り乱し、必死な形相の美形。
いつも飄々として、色んな事を小器用にこなせそうなイメージのあるしずかちゃんは、息を乱し、部屋を見渡して、
オレらを、見つけた。
「…っ!!」
ヒュ、と彼の喉が鳴った。
オレを凝視したまま、彼の表情がだんだんと硬質化していく。
「おいっ、志藤っ、」
一拍置いて、日下部先輩も部屋に入って来た。
しかししずかちゃんは、日下部先輩の呼び掛けにピクリとも反応せず、冷たい、と感じる無表情で此方を睥睨している。
何か、言わなきゃ、と見上げるオレは、その冷たい目によって金縛りにでも掛かってしまったかのように声が出ない。
「…っ、凛君…!!」
日下部先輩は、しずかちゃんの視線を辿る形でオレを見付け、驚愕の声をあげる。
駆け寄ろうと、日下部先輩が踏み出す前に、ユラリ、としずかちゃんが一歩前に出た。
「………なんで、りっちゃんが、怪我してんの?」
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