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「……………、」


好きな、もの。


そう言われて、思い浮かぶものを、オレは端からあげていく。


「…甘いもの、と…本、と…紅茶…、桜と紅葉と、…早朝の海に、夕方の川辺…特売、とタイムセール…って言葉。」

「へぇ。」

タイムセールの辺りで、尚久さんは可笑しそうに瞳を細める。


「…学校の屋上での、昼寝…授業は、古文と日本史は、好き…数学は嫌い。」

「文系なんだ。…読書が好きだから?どんな本を読むの?」


彼は、オレの話を興味深そうに聞きながら、オレの体制が楽になるように、さり気なくずらしてくれた。


呼吸が少ししやすくなって、フゥ、とオレは息を吐く。


「……主に推理もの、と歴史小説、かな。…恋愛系とか、エッセイは、…あんま、読まない、です。」

「へぇ。インドア派?」

「………どう、でしょ?…散歩は好き、です。」

「散歩?」

「…はい。…知ってる道も、良く見てみる、と…新しい、発見がある、し…途中で曲がって、知らない道を…開拓する、のも楽しいです。…ここと、ここが繋がってるんだ、とか、」

「…………。」

「歩きでは、通れても、…車とかバイク、だと、無理なルート、とか…時間指定の、一通、…夜間工事、検問…」


そんな趣味の延長が、
『陰』としての特技になるんだから、人生は本当に分からないと思う。


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あきゅろす。
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