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※尚久視点です。


「……、」


そう理解したオレは、彼の体を抱く手に、力を入れそうになって、慌てて自制する。


彼は、怪我をしている。
そんな事は、出来ない。

それでなくとも、こんな細い体…力を込めたら、砕いてしまいそうで、怖い。


「…………っ、」


ああ、でも



抱き締め、たいんだ。



「……………、」



まるで、深海にいるように、上手く呼吸が出来ない。



初めて、なんだ。



今迄、誰にもこんな気持ちにならなかった。


親も兄弟も、

友人も婚約者も、

自分で選んで付き合っていた彼女ら、さえ


オレの感情の欠片さえ、動かせなかったのに、


君をこの手に抱いている、というだけで溢れる、この気持ちを、何と呼べば良い。



「………っ、」


君と会えたこの奇跡を、



オレは誰に感謝したらいい?



何故、こんなに、

君が、――







愛しい?


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