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※尚久視点です。


「何、言って…」


戸惑うオレに、彼は、ふわり、と笑んだ。


痛いだろうに。
辛いだろうに。


それを微塵も感じさせない、柔らかな笑みを浮かべる彼に、オレは息を飲んだ。


「血が繋がって、なくても、…家族には、なれるんです。オレも、いますよ。血が繋がっていないけど、…大切な家族が。」


その人物を思い返しているのだろうか。
斎藤君は、愛しげに、瞳を緩めた。


「まぁオレの場合、特殊で、オレの家族は、二歳年上の、…美形なお兄さん、なんですが。」


苦笑した彼は、言葉を区切る。


深い色をした瞳が、とても優しく、オレを見ていた。



「…夫婦も、一つの、家族です。」

「…っ、」

「他人同士が、分かり合うのは、…とても難しい。…時間も、沢山必要に、なる。…でも、きっと、無理な事、では無いから……最初から、諦めては、駄目。」


一呼吸置いて、オレに笑みかける彼は、ただ、ただ、優しい目をしていて、



オレは、ガラにも無く、泣きたくなった。


「…大切にしてあげて下さい。…貴方の、新たな、繋がりを。」


『家族』、を。


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あきゅろす。
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