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2*
「……な、に…」
「…君は、」
息を飲むオレに顔を近付け、至近距離で尚久さんは、オレと瞳を合わせる。
焦点も定まらない間近にある目は、憎しみさえ感じさせた。
「君は、奪われる苦しみを、知らないだろう?無くす痛みも、居場所を脅かされる恐怖も、知らない世界にいるんだろう?」
低い声音が、まるで糾弾するように矢継ぎ早に問う。
…いや、問いですらない。問いの形をとった断定だ。
オレの答えなんて必要としていない。
「…オレは…!?、がっ…、は」
それでも反論しようとしたオレの下腹部に、ガッと拳がめり込む。
不意討ちに殴られ痛みに、息が一瞬止まった。
「…っ、ゴホッ、」
間を開けて、盛大に咳き込むオレを冷たい目で見下ろしながら、尚久さんは瞳を眇めた。
「…そうでなければ、そんな目が出来る筈がない。護られて、大切にされているんだろう?…『紗鞠』のお坊ちゃんである君は。」
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