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…でも、何故?


そんな突拍子も無い嘘をつく程、オレは胡散臭く見えるのか?


「……そう。最近、私、『紗鞠』にお世話になったのだけれど、ご子息が二人いるとは聞いていなかったわ。」

「!」


……そうか。

しずかちゃんのお母さんと初めて会った時、『義妹がバックのプロデュースをした』って言っていた。そういえば。


注意深く聞いていれば分かる事だったのに、失念していたオレは、内心で動揺していた。


偽者じゃあるまいし。何で動揺してんのオレ、って感じだけど。


……やましい、のかもしれない。


一方的に跳ね除けた、父の力を勝手に使っている事とか、


実家の家業とはいえ、全く関わっていない為、一般人以下の知識しか無い事とか、



あと、それから――






「…なら、咲くんは、君の…」


……ああ。



どれ程久しぶりに聞いただろう。


その名を。



――――さき。


咲。



幼かった彼の手を離して、3年の年月がたった。


以来、一目たりとも会っていない彼の名に、泣きそうな心を押し留め、オレは笑った。




「…弟、です。」


.

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