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思惑
その、翌日。
予告通り、しずかちゃんのお父さんは、跡継ぎの条件を明言した。
広間に集められた、近しい血筋の人等に紛れ、オレと日下部先輩も、部屋の隅で立ち合わせてもらった。
書状を読み上げた弁護士さんは、なんと眼鏡さんこと木暮さん。
オレ一人がソコに驚いていたが、周りは読み上げられた内容に驚愕し、動揺はさざ波のように広がり、やがて広間全体が騒めく。
その中、渦中のしずかちゃんは無表情のまま微動だにせず、話を事前にオレ等から聞いていた桜子さんも同様。
しずかちゃんのお母さん…耀子さんは唖然とした顔を、ゆっくりと厳しい顔付に変え、底冷えのする視線でしずかちゃんを一瞥した後は、瞳を伏せた。
腸煮えくり返る思いだろうに、全く取り乱さないのは、流石と言えるだろう。
しかし隣の尚久さんは、読めない笑みを張り付けたまま、動揺は見受けられない。
何を考えているのか読めない彼の隣にいる撫子さんは、今にも気を失ってしまいそうな顔色で、じっと俯いていた。
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