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「変な事言ってごめんね。」
ニコリと笑った、しずかちゃんからはもう、さっきまでの陰りや動揺は見つけられない。
彼は、ポーカーフェイスが得意だ。
無表情で感情を押し隠すのではなく、笑顔で覆い隠してしまう。
…オレには結構色んな顔を見せてくれてるんじゃないかって自惚れてたけど、勘違いかも。
だって、拒絶――されてる。
これは、しずかちゃんの線引き。
此処までにして。
これ以上は、入ってこないで。
…そういう、境界線。
「…ううん。」
無力なオレは、ただかぶりを振る。
その垣根も壊せない。
かといって、何も無かったかのように、うまく誤魔化されてもあげられない。
そんな中途半端で無力なオレは、
彼の為に、なにが出来るんだろう。
「…行こうか。」
再び歩き始めたしずかちゃんの後ろを歩きながら、オレはずっと考えていた。
彼が心から笑える為に、オレが出来る事は、
何？
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