Main
3
「…撫子さんが?」
「うん。」
しずかちゃんは、コクリと頷いた。
「桜子と撫子ちゃんは、姉妹だけど、全然違う。…桜子は、悲しい事や辛い事があっても、それを受け止めて、1人でも立ち上がって前を向ける。…でも、撫子ちゃんには、それは無理なんだ。母と同じ…誰かに寄りかかり守ってもらわなければ、生きていけない、儚い、花。」
「…………。」
そう語るしずかちゃんの横顔こそが、とても儚かった。
ぎゅっと、繋ぐ手に力を込めると、しずかちゃんは困ったように笑む。
「……ソレを甘えだと言えるのは、乗り越えられる強さを持つ者のエゴだ。……オレには、その弱さを罪だとは思えない。見てみぬ振りも、…その手を振り払う事も、出来ない。」
「…………?」
何故か、しずかちゃんの手が強ばる。
急激に冷えた指先と、同じように顔色をなくした彼に、オレは戸惑う。
「………しずかちゃん?」
「っ…!!……あ、ごめん。」
しずかちゃんは我に返ったようにビクリと跳ね、次いで取り繕うように笑った。
スルリと指も離れてしまい、もう彼の動揺を推し量る事は出来ない。
.
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!