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※第三者視点です。
二人は、声の方向を振り返る。
「…あ、」
青ざめる撫子と、厳しい顔になった静の視線の先には、
「…………母上。」
激し過ぎる怒りを握り潰すように、掌を握り締め、肩を震わす、耀子が、いた。
無言で此方へ近寄ってきた耀子は、思い切り手を振り上げる。
――パンッ
「…っ、」
その場に乾いた音が、響いた。
「……母と、呼ばないで。汚らわしい…っ!!」
唇が切れ、血を滲ませながらも静は無言で耀子を見下ろす。
耀子は普段の上品な様子をかなぐり捨て、般若の如く顔を歪めた。
「やっぱりアンタは、あの女の子だわっ…人の物を掠め取る事しか脳の無い売女の子供なのよ…!!!」
口汚く罵りながら耀子は、再度手を振り上げる。
「…っ、」
しかし二度目は、静は彼女の手を掴み止める。
「…一度目は、私の落ち度を認めて敢えて受けましたが、二度目はありません。…少なくとも、恥じるような事はしていない。誤解を招く軽率な行動だった事は認めますが。」
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