Main 冷えた関係 ※第三者視点です。 「…っ、」 強い力で撫子の腕を掴んだまま、尚久は無言で歩き続けている。 苛ついているのか、早足なので、撫子はついていくだけで必死だ。 もう、引き摺られている、といった方が正しいんじゃないかという位。 元々、体が丈夫で無い彼女は、既に息も絶え絶えで、青い顔をしているのだが、尚久は全く気を遣う素振りも無い。 「………ぁ、」 廊下の突き当たり、人気の無い場所まで来て、漸く尚久は足を止めた。 「………っ、」 手を離され、撫子は倒れそうな顔色で、ゴホゴホと盛大に息を乱した。 ヒュウヒュウと呼吸器官が悲鳴をあげ、苦しそうな彼女を、尚久は冷たい視線で一瞥する。 「…本当に君は、僕を苛立たせるのが上手いね。」 「…っ!!」 地を這うような低い声音に、撫子はビクリと体を震わせた。 「何も出来ないお人形さんのくせに、大人しく座っている事も出来ないのかな?」 「…………。」 辛辣すぎる言葉にも、撫子は反論出来ない。 真っ青な顔で、震えながら俯くだけ。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |