Main 桜色 「…桜子さん、」 「ごめんね。変な空気にしちゃった。…そんな顔しないで。……斎藤君は、優しいね。」 情けない顔になっているオレを見て、桜子さんは、微笑む。 気を使わせないように、何でも無い事だと笑う彼女は、とても強く、オレなんかよりよっぽど優しい人だと思う。 「……いいんだ。どうせ私の静への想いは、純粋な好きとは言い難かったし。」 「……?」 「…強い静への、羨望だとか、……後、同情とか負い目も、あるのかなぁ。とにかくゴチャゴチャ。純粋な恋心とは、とても言えないモノだし。」 桜子さんは、自分の中の気持ちを諦める事に、そうやって言い訳しているように、感じる。 飲み込み、これからも告げられないソレを、無理矢理昇華させようとするみたいに、 自分の中で、納まり付けようとしている。 そこに口出すなんて、野暮だって分かっているけど、 オレのせいでもある…いや、寧ろ、元凶なんだけど、 それでもどうか、 そんな泣きそうな瞳で、自分の想いを否定しないで。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |