Main 最悪だ 「「っ!?」」 オレ達は、同時に後ろを振り返った。 「話、聞いちゃった。ごめんなさい。」 目を見開くオレに、困ったように肩を竦め苦笑するのは…、 さっき、オレが思い返していた人物。 「…桜子、さん。」 しずかちゃんの婚約者こと、北条 桜子さん。 笑顔が魅力的な、美少女です。 「…君が、志藤の婚約者か。」 オレの呟きを拾った日下部先輩は、桜子さんを見た。 「そうよ。はじめまして。」 ニコリ、と行儀良い様子で笑みを向ける桜子さんに、日下部先輩も簡易的な自己紹介をしている。 だが、そんな最中もオレは、ぐるぐる考え込んでいた。 だって、一番聞かせたくない人に、聞かせてしまった。 こんな形で、赤の他人、完璧な第三者から、突き付けられるなんて、最悪すぎる。 ていうか、オレが最悪だよ。 女の子を、傷付けてしまうなんて。 「…ところで、先程の発言の意図を聞いてもいいだろうか?」 「ええ。」 傷付いた瞳を隠し、気丈に笑む優しい人を。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |