Main つまり? 「……では、何か?志藤の兄と婚約者を結婚させずに、兄に家を継がせる、という事態が一番望ましいという事か?」 先輩は苦々しい表情で、若干投げ遣りにそう言った。 「…はぁ。」 「………この切羽詰まった状況で、どんな魔法を使ったらそんな結果が導きだせると思う?」 小さくなりながら、オレが曖昧な返事をすると、先輩は長いため息をついた後、畳み掛けるように現実を突き付けてきた。 「見たところ、兄は婚約者と別れる気はなさそうだぞ。条件を提示された後なら尚更、強行手段に出そうでさえある。志藤は、婚約者が別にいる上、家を継ぐ気は無い。…しかも、事態は至急を要する。」 先輩は、最後に『正攻法ではまず無理だ。』と付け加える。 …容赦無しの現実的な見解、ありがとうございます。 「……………、」 オレがしょんぼりと肩を落としていると、先輩は少しの間黙り込み、思案するように、顎に手をあてた。 「………………そもそも、志藤は本当に、その女性の事が好きなのか?」 「………?…まぁ、オレの勝手な予想なので、ハッキリ言い切る事は出来ませんが、おそらく。」 . [*前へ][次へ#] [戻る] |