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オレがゲンナリとしつつも、そう予想していると、案の定、尚久さんは、話を振ってきた。
「斎藤君は『紗鞠』のご子息だそうだね。先日は叔母がお世話になったようで。」
はい来た。
「…仕事の事には、全く関わって無いので、…すいません。」
苦笑しながら言うと、尚久さんは、申し訳なさそうに顔を歪めた。
だが、その上っ面の下で判断してくれるだろう。
オレは、大会社の息子だが、経営に関わらせてもらっていない。
イコール、後継ぎでは無い、と。
利用価値はあるが、重要な札では無い、程度に思っていてくれないと、動き辛くてかなわないからな。
「僕こそ、申し訳ない。…まだ学生さんだから、そんな事言っても、困らせてしまうだけだったね。」
「いいえ。」
曖昧に笑って濁すと、尚久さんは、今度は日下部先輩に視線を向ける。
「此方もはじめまして、かな？…御門君とは、一度だけ会った事があるんだが。」
ニコリ、と隙の無い笑みを浮かべた尚久に対し、日下部先輩は無表情のまま、はい、と返した。
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