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余り1
そういえば、桜子さんは今日は来てないのかな?
昨日の様子なら、絶対来ると思ったのに。
しずかちゃんと撫子さんが仲睦まじく話しているのを見ながらオレは、桜子さんを思い浮べていた。
「撫子?」
「…っ、」
唐突に割って入った声に、撫子さんは名前を呼ばれ、ビクリと体を竦めた。
その声は、オレが思い浮べていた桜子さんのものでは無く、
凛とした、男性のもので。
しずかちゃんが厳しい顔で見つめる先を視線で辿ると、
大学生くらいの、男の人がいた。
「此処にいたんだ。」
ニコリ、と笑むのは、爽やかな美青年だった。
柔らかそうな緩くクセのあるブラウンの髪。
笑みの形に細められた、切れ長な瞳。
まるでブラウン管の中から抜け出てきたかのような、洗練された青年は、撫子さんにスッと手を差し伸べた。
俳優さんのような好青年と、お人形さんみたいな美少女が対面していると、ドラマのワンシーンを見ているようです。
またそこに、しずかちゃんを投入すると、余計現実感が無くなる。
なんだったら、日下部先輩も入るといい。
視聴率、アホみたいにとれると思う。マジで。
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