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Side 暁良
※暁良視点です。
バンッ
屋上の扉を開ける。
オレを出迎えたのは、やけに大きな蒼い月と、フェンスの手前に佇む、細い背中―――。
あの時と、同じ。
暗闇の中、月明かりを受けて浮かび上がった小さな体。
あの日の映像と、今のそれが、完全に重なった。
コツ―――。
その背に向けて、一歩踏み出す。
「……やっぱり、この学校にいやがったか。」
「………。」
コツ。
「隠れるのはお手の物ってか?…それとも下の野郎がクズなのか…。」
コツ。
「…お前は簡単に捕まりそうだと思ったが…」
コツ。
「撒き餌は龍一匹じゃあ、足らねぇか?」
ピクリ。
今迄、微動だにしなかった背中が、微かに揺れる。
嗚呼。
やっぱりコイツを揺さ振るのは。
腹の底から、残虐な衝動が沸き上がる。
コイツのその愛情や忠誠心を、引き裂いて踏み躙りたくてたまらない。
愉悦と、凶暴な衝動のままに、オレはニヤリと笑む。
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