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※日下部視点です。
「……………。」
瞠目する私に、男はもう一度、哂った。
その顔に、私は混乱する。
…冗談を言うような男じゃない。
だが、それならば
その言葉が、真実だというのか――?
確かに、この男…私の上司であり主である御門暁良は、御門家の子息。
次男ながらも、ほぼ後継者として確定していると言っても過言ではない。
そして表立ったビジネスのみならず、裏社会にも名を馳せる極道一門の後継者候補ともなれば…当然、危険も付き纏う。
命を狙われた事も一度や二度では無いが、そんな洒落にならない事態も、己の能力と機転で軽々乗り越えてきたのだ。
この、御門暁良という男は。
それこそ、『護衛』も兼ねた部下である自分の立場が無くなる位に。
…そんな男が、
命を、救われた。
ソレは確かに、この怠惰な男の興味を引くに値する出来事かもしれない。
……まぁ、取り敢えず今は、
「……感謝が先か。」
「…何?」
私の独り言を拾い、怪訝そうに眉をひそめる男に、私は短く嘆息した。
「…それが本当ならば、立場上、彼に感謝しなければなりません。貴方になにかあれば、私は失職だけでは済みませんから。」
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